LeSSを回して3ヶ月
これは Mackerel Advent Calendar 2021 の8日目の記事です。
こんにちは、株式会社はてな Mackerel開発チームでサブディレクターをしています。
現在Mackerel開発チームにて、大規模Scrum導入とチーム改善に取り組んでいます。
今回はMackerel開発チームでLeSSを導入・運用して、わかってきたこと・課題などを振り返っていきたいと思います。
スクラムをスケールするには?
プロダクトに関わる人数が増えてきたときにどうスクラムを回すか?は、非常に難しい問題です。
今回、Mackerel開発チームでは、Lessフレームワークを採用することにしました。
日本語の解説本もあるので、そちらも参考にしつつ、チームの現状に合わせていく形です。
わかったこと
まずは3ヶ月でわかったことです。
教科書通りに始める
まずは教科書通りにやってみることが重要です。
教科書通りに進めつつ、状況に応じてやり方を変えていくことをおすすめします。
いきなりアレンジしてしまうと、うまく回らなかったり、結局やめようと言うことになってしまうことになってしまうと思います。
多少違和感があっても、まずは教科書通りにやってみましょう。
通常のScrumの知識は必要
10人以下でのチームによるScrumの経験と知識があると理解しやすいです。
LeSSは普通のScrumを拡張しているものなので、考え方のベースは何も変わらないと思っています。
何も知らない状態から始めることも頑張ればできるとは思いますが、その場合はがっつりアジャイルコーチに頼ることになりそうです。
スプリントイベントが高コスト
スプリントイベントは、開発チーム全体についてのイベントと、各チームのイベントの二部構成になっています。
通常のScrumでも同じだと思いますが、スプリントイベントはほぼ一日それにかかりっきりになります。
イベントで会話される話題も格段に多くなるので、時間切れにならないよう注意して進める必要があります。
連続してイベントを入れると疲れるので、休憩を入れながら進めることをおすすめします。
我慢も必要
先ほどスプリントイベントに時間がかかると言いましたが、扱うテーマ、関わる人、すべてが増えていくので、時間がかかるのは致し方ないところです。
なんとか早く終わらせたいという気持ちはありますが、プランニングやレトロスペクティヴは必要不可欠なものなので、時間をかけて会話した方が結果としていい方向へ進むはずです。
課題
うまく回っているように見えても、まだまだ課題はあります。
課題がないと言われる方がよっぽど怖いですが。
チーム分け
よくないのはわかっているのですが、現状、SREとデザインが職能別のチームとして独立してしまっています。
開発チーム全体が過渡期なのでこのように分けていますが、今後解消していきたいと思っています。
Agile、Scrumの知識共有
自らにもいえることですが、メンバー間の知識のずれを解消していく必要があると考えています。
枠だけできあがっても、その本質を理解していないとただやっているだけになってしまいます。
これまで、無意識的に行ってきたものを一度有意識下に持ってくることが重要になります。
時間をかける覚悟
導入への準備から、実際の導入、その後の改善、人間観家に構築など、Agile開発が軌道に乗り、チーム全体が自己組織化されるまでをゴールすると、それなりに時間はかかります。
「じゃあ来週からLeSSでやるのでよろしく」ですべてうまくいくものではありません。
開発メンバー、マネジメント層ともに時間をかける覚悟は必要です。
POの負担が増える
普通のScrumを拡張したものなので、POはただ一人存在することになります。
すべてのPBIを管理することになるので、優先順位をつけるだけでも大変です。
POの負担を減らすためにも、POの民主化を進めていく必要があります。
現在、アイデアレベルからPBIになるまでのフローを整備しようとしています。
まとめ
LeSSについてわかったことと課題をいくつか挙げました。
Mackerel開発チームの冒険はまだまだこれからです。
すべてはMackerelを使うユーザーの皆様のため、プロダクトの改善を続けていきます。
プロセスの改善はプロダクトの改善につながるものであるので、今後もチーム改善に取り組んでいきます。
来年もMackerelをよろしくお願いいたします。